呂孫綾立法委員が見せた劇と選挙活動との距離感
まずは前出のプレゼント活動。最初は劇団や劇に関するものが多かったのですが、徐々に自身の4年間立法委員生活における実績の質問に変わっていきました。そうすると、子供が単独で答えられるものは徐々に少なくなり、そばにいる親の力を借りるか周りの大人が答えるしかないような展開になっていきます。この辺りから、少しずつ「選挙の色」というものを強烈に感じずにいられなくなりました。
途中で子供たちにクリスマスプレゼントを贈るシーンもあり、抽選箱を使って舞台で踊る子供たちを選ぶシーンもあったのですが、そこでも自身の過去の実績を質問し、答えるような感じになりました。
こうして、繰り返し自分の過去の実績をPRするような感じになると…
子供たちにクリスマスプレゼントを贈っても、純粋に楽しんでもらおうと思って一生懸命様々な企画を実行しても、なかなかそうはいかなくなり、楽しめなくなってしまいます。
過去3度紹介した吳思瑤立法委員の文化活動では、吳思瑤立法委員は「選挙の色」、「政治の色」を完全に排除し(ご本人だけでなく、場所を提供する側も、相手陣営から批判のネタにされたくないという思惑もありますが)、劇でもキャストに加わりながらも、自分が出しゃばることは全くありませんでした。そうした努力もあってか、学校の運動場に設けられた(もしくはそれに準ずる)会場への来場者も多く、会場に用意された椅子が全部埋まり、立ち見が出るくらいの盛況で、途中で帰る人はまばらでした。また、劇が終わってからも、自分の存在を極力消し、メインキャストの劇団員に目が向くように配慮している様子でした。
一方で、呂孫綾立法委員の劇は、自身の実績PRネタが続いた辺りから、席を立ち、会場を後にする人が目立ち、中には子供がもらうものをもらってから会場を後にする人もいました。
立法委員として1期目で経験が浅いために、人をひきつけられなかっただけかもしれませんが、会場周りに集まっていた地元の人たちの妙に冷めた反応が気になりました。
劇の終了後は、呂孫綾立法委員自ら来場者を見送りましたが、その様子は選挙活動中の候補者そのもの。台湾での選挙と文化活動との距離の取り方の大切さ、難しさが出ているような気がしました。
吳思瑤立法委員とその周りの方のように「文化活動は文化活動」、「選挙は選挙」としっかり分けたほうが個人的には好感が持てるのですが、当事者たちやそれを受け止める有権者たちはどう感じているでしょうか。
そんなことが気になってしまった児童劇の鑑賞でした。